日々(書評のむずかしさ)
ライター・書評家の石井千湖さんが、最近アルバイトで書店員をしているという
アルバイト書店員の雑感|石井千湖|note を読んだ。
とある書評のカルチャースクールにもう10年近く通っているけれど、
そもそも書評とは、というところで私はつまずき続けている。
言い方をちょっと良くすれば、書評とは何かを考え続けている。
他人に読んでもらうのが大前提なので(そうじゃなければただの感想)
「他人」に伝わらなければいけないのだが
私は得てして、自分の読解・理解のために書評を書いてしまうので
自分本位のものになってしまいがち。
伝えたいけれど、字数を尽くさなければ伝えられないときに
潔くあきらめて、書かないことを選択するのがプロなのだろうが
書きたいことを優先してしまうのが素人(つまり私)である。
石井千湖さんの書評は、とても繊細なことを伝えているのに
しっかり読み手に受け取ってもらえる書き方をしていて
まあこれはセンスもあるだろうし、やはり自分本位じゃないのだろう。
ご著書も最近立て続けに2冊出しているし、
メディアにも時々出てらっしゃるようだから
ライター・書評家としてはかなり上手くいっていると思っていた。
実際、相対的にはかなり上手くいっているほうなんだろうと思う。
それでももう一つ副業を持とうというところに、
書評(家)の難しさを感じてしまう。
世の中にもう少し本を読む人が増えて、
書物を評することの面白さや難しさ、それ故の「芸」に気づいてもらえれば。
そして評価してくれる人間が増えれば。
プロの面白い書評には、信じられなくらいの分量のコストがかかっている
というのが、長年カルチャースクールに(だらだら)通っている人間の実感だ。