ホンとのところ

日々のあれこれ、本の話題など

末續慎吾『自由。』(2020、ダイヤモンド社)

現在40歳で現役陸上選手の末續慎吾さんが、陸上人生で感じたことを綴ったエッセイ。 印象的な言葉をいくつか。 〈恐怖と向き合うのは「勇気」のいることなんです。ある意味、「恐怖」があるから「勇気」が生まれるとも言える。僕は相当時間をかけてこの恐怖…

岡田尊司『境界性パーソナリティ障害』(幻冬舎新書)

境界性 パーソナリティ障害がどのような障害であるのか、精神科医が専門的な見地から丁寧に、初心者にもわかりやすく解説した入門書。「障害」という言葉に、勝手に「病い」とは違う軽いものだと思ってしまっていたが、そうではなく、れっきとした病気で、治…

吉村昭『羆嵐』(新潮文庫)

大正4年12月9日、北海道留萌支庁の山深い集落で日本史上最大と言われる獣害事件が起こった。死者7名重症者3名を出したこの事件を、記録文学の第一人者である吉村昭が静かな迫力でつづったドキュメンタリー。タイトルの「羆嵐(くまあらし)」はクマを仕留め…

宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』(早川SFシリーズ Jコレクション)

現実の世界より技術の進んだパラレルワールドが舞台のSF作品。短編集だが、全編を通じDX9、通称歌姫という日本製の玩具ロボットが登場。9・11によってバランスが崩れ、各地で紛争が起き荒廃している世界を背景としている。具現化したボーカロイド、DX9を…

杉山春『ルポ 虐待 ―大阪二児置き去り死事件』(ちくま新書)

これまで主に母子問題を扱ってきた著者による、大阪二児置き去り死事件のルポ。なぜ愛するわが子にあんなに残酷な仕打ちをしてしまったのか。表層だけでは鬼の所業に思える母親の行為。彼女のそれまでの人生を丁寧に追いながら、事件を起こしてしまった背景…

念願のひとり時間と伊藤比呂美『犬心』

昨日は夫が同級生と飲みに行ったので、一人家でのんびり過ごす。共通の知人なので一緒にどうかと誘われたけど、ひとり時間を熱望していたので丁重におことわりした。 かますの開きとししとうを焼き、海藻サラダと冷ややっこ、それにワンカップのお酒(会津の…

小野不由美『丕緒の鳥 十二国記』読了

ひーっさしぶりの十二国記! と思ったら12年ぶりの新作ですって。 12年・・・。長い・・・。 しかし、小野さんが十二国記を書いてくれただけでありがたいです、本当に。 短編が4つ。どこの王様も登場しない、市井の人たちが主人公の外伝っぽい物語。 「…

伊坂幸太郎『グラスホッパー』読了

『シスターズ・ブラザーズ』→『ハツカネズミと人間』→『ブラッド・メリディアン』ときての『グラスホッパー』。 数ヶ月前に読みかけて、非道な出だしにちょっと萎えてしまいそのまま放置されてた。 このたびめでたく『ブラッド・メリディアン』を読みきった…

WEB日記、二階堂奥歯「八本足の蝶」を読む読む。

0時35分就寝、6時50分起床。 6時間15分睡眠。 昨日は会社の昼休みと、実験の合間、 帰宅してご飯食べてから5時間弱、 二階堂奥歯さんのWEB日記「八本足の蝶」を読んでいた。 (きっかけはfujiponさんの「琥珀色の戯言」) どうにも途中で止めら…

『快適生活研究』(金井美恵子)読書中

7編からなる短編集で、はじめは各編のつながりが見えないが、読み進めていくうちに少しづつ登場人物があちらこちらでつながっているのがわかってくる仕掛けになっている。なんだかイラっとするような年配者がたくさん出てくる。祖母を彷彿とさせる人物も。小…