ホンとのところ

日々のあれこれ、本の話題など

2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

吉村昭『羆嵐』(新潮文庫)

大正4年12月9日、北海道留萌支庁の山深い集落で日本史上最大と言われる獣害事件が起こった。死者7名重症者3名を出したこの事件を、記録文学の第一人者である吉村昭が静かな迫力でつづったドキュメンタリー。タイトルの「羆嵐(くまあらし)」はクマを仕留め…

宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』(早川SFシリーズ Jコレクション)

現実の世界より技術の進んだパラレルワールドが舞台のSF作品。短編集だが、全編を通じDX9、通称歌姫という日本製の玩具ロボットが登場。9・11によってバランスが崩れ、各地で紛争が起き荒廃している世界を背景としている。具現化したボーカロイド、DX9を…

杉山春『ルポ 虐待 ―大阪二児置き去り死事件』(ちくま新書)

これまで主に母子問題を扱ってきた著者による、大阪二児置き去り死事件のルポ。なぜ愛するわが子にあんなに残酷な仕打ちをしてしまったのか。表層だけでは鬼の所業に思える母親の行為。彼女のそれまでの人生を丁寧に追いながら、事件を起こしてしまった背景…